渡辺貞夫は時代の空気をつかむのがうまい。60年代に日本にボサノヴァ・ブームを広めたのはバークリー音大帰りの渡辺貞夫だった。フュージョンも、またしかりである。渡辺貞夫のフュージョン第1作は、デイヴ・グルーシン、リー・リトナー、チャック・レイニーらを加えて77年に録音した『マイ・ディア・ライフ』だった。翌78年にはデイヴ・グルーシン・ファミリーを総動員して本作をLAで録音、これが78年から79年にかけて大ヒットし、日本におけるフュージョン・ブームの頂点を記録した。

このアルバム、通算で軽く100万枚以上は売れたというから、ジャズの世界では空前絶後の大ヒットだった。なぜそれほど評判になったかというと、まず曲がいい。渡辺貞夫は人の心をとらえるキャッチーなメロディを生み出す天才なのである。加えてデイヴ・グルーシンのアレンジがスマートで洒落ている。要するにグルーシンと提携することによって、最強のチームが出来上がったというわけ。ジャズ・ファンでなくても、タイトル曲は、きっとどこかで一度は耳にしているはずだ。(市川正二)

 ・ amazon music : Sadao Watanabe : California Shower (1978) : カリフォルニア・シャワー

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ディスク:1
1. カリフォルニア・シャワー
2. デュオ・クリエイティクス
3. デザート・ライド
4. セヴンス・ハイ
5. 風の想い出
6. ヌゥゴマ・パーティ
7. マイ・カントリー