テディ・ウィルソン、ジーン・ラミー、ジョー・ジョーンズをバックに、レスターがワンホーン編成でスタンダードを悠然と吹いている56年録音作。レスターは30年代に頭角をあらわし、30~40年代に全盛期を迎えた人で、亡くなったのは59年。したがって、本作はピークを過ぎた晩年の録音ということになる。晩年のレスターは酒と麻薬でボロボロになっていたが、それでも本作と『The Jazz Giants ’56』は、例外的に素晴らしい作品としてファンに支持されている。
1曲目を聴いた瞬間、これが56年のレスターかと一瞬疑うほど、生き生きとしたプレイを聴かせる。加えてテディのピアノが絶好調で、老兵レスターを優しくサポートしている姿が美しい。曲は手慣れたスタンダード、そして共演者は気心の知れた仲間とあって、レスターはリラックスした雰囲気のなか、マイ・ペースの演奏を聴かせる。全盛期の閃きに満ちたレスターも素晴らしいが、こういうしみじみ、ほのぼのとしたレスターもまた格別の味わいがある。(市川正二)

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